<お金の教室>はじめての投資~入門編③~

増資と株式分割について
株式会社が資本金を増やすことを「増資」といいます。
増資による資金調達は銀行借り入れや社債の発行等に比べ、資金の返済義務がないことが特徴として挙げられます。株主側から見てもその資金が設備投資や研究開発に用いられることで会社の更なる成長が促され、株価の高評価につながる期待を持つことができます。
一方、株式分割は株主還元の一環として実行されることから株主にとって注目される材料となります。
有償増資
新株を引き受ける人から払込金を徴収しますが、その金額は時価をベースとして決められます。また、誰に引き受けてもらうかで、「株主割当増資」、「第三者割当増資」、「公募増資」の3つに分かれます。不特定・多数の者に対して募集する「公募増資」の他、株主に等しく新株引受権を付与する「株主割当増資」。「第三者割当増資」は株主以外の第三者に「新株引受権」を付与して新株を割当てる増資をいいます。
株式分割
株式分割とは、既に発行されている株式を分割し、株式数を増加することです。
株式分割が行われても、保有する株式全体の実質的価値に変化はありませんが、1株あたりの金額や投資単位(最低投資金額)は小さくなります。
例えば、A社の株式を100株保有しているとします。株価が1万円とすると、100株の保有で100万円となります。
株式分割が行われ1株が5株に分割された場合、株式は500株、理論上の株価は5分の1になりますので、実質的な価値に変化はありません。一方で、株式の売買は100株単位で行われるため、最低投資金額は100万円から20万円に小さくなるため、株式を購入しやすくなります。
株主優待について知りたい!
企業が、その自社の商品やサービスを権利確定した株主に対して無料でプレゼントをするのが「株主優待(※)」です。「株主優待」を受けたいために株主になったからといって、株主優待がすぐに受けられるようになるわけではありません。
株主優待は、この日に株主であるならばプレゼントしますよ、という基準日があります。その日のことを『権利確定日』といい、株主としてのもろもろの権利(=株主の権利)を得るための確定日のことです。
※全ての企業が実施しているわけではありません。
株主優待や配当の権利確定日
株主優待や配当を得るためには、『権利確定日に株主となる』必要があります。そのためには、権利確定日の2営業日前(休日を除く)には、株を購入し、かつ約定が成立していなければなりません。例えば、以下の表の日程の場合、月曜日が株主優待・配当の権利確定日だとすると、休日を除いた2営業日前の木曜日には、株を購入し、かつ約定が成立している必要があります。その日のことを『権利付最終日』といいます。その流れを下に示しましょう。
木 | 権利付最終日 木曜日までに約定すれば受け取れる |
金 | 権利落ち日 |
土 | 非営業日 |
日 | 非営業日 |
月 | 権利確定日 受渡日 |
つまり権利確定日から2営業日前の『権利付最終日』に株を購入してある場合に株主優待・配当を受けることができます。なお、翌日の権利落ち日には売却しても株主優待・配当を受ける権利を失うことはありません。
注:株式投資等で配当金を受け取る権利が確定した翌日、配当金の分だけ株価が下落することを『配当落ち』といいます。配当が出された銘柄は、理論的には金利を除けばその株価が1株当たりの予想配当金の額だけ、前日よりも値下がりします。ただし、実際の株価は他の変動要因にも左右されますので、市場では必ずしも理論通り下がるとは限りません。